贈与税
ここでは、贈与についての解説をさせていただきます。
贈与税の基本
1)歴年単位課税
その年の1月1日から12月31日までに行われた贈与財産が対象
2)受贈者単位課税
その年に贈与を受けた財産(複数の者から贈与を受けた場合はすべて合算)が110万円を超える場合には、翌年2月1日から3月15日までに確定申告が必要
3)納税義務者
財産の贈与を受けた者
4)税額計算
贈与税=(贈与財産の価額-基礎控除110万円)×税率
【贈与による財産の取得時期】
贈与による財産の取得時期は、納税義務の発生時期、財産の評価時期、申告期限、適用税率に関連します。
1)口頭による贈与・・・贈与の履行の時
2)書面による贈与・・・贈与契約の効力が生じた時
3)停止条件付贈与・・・条件が成就した時
4)農地の贈与・・・農地法の許可又は届出の効力が生じた時
※贈与日が明確でないとき…登記又は登録があった時(所有権の登記又は登録の目的になる財産)
【贈与税の各種控除】
贈与税の配偶者控除
贈与日において婚姻期間が20年以上である配偶者(同一配偶者においては一生に一回のみ)から、居住用不動産又は、居住用不動産を取得するための金銭の贈与を受け、贈与年の翌年3月15日までに居住し、その後引き続き居住する見込みである場合には、贈与税の課税価格から、2,000万円を限度として控除することができます。
贈与税=(贈与財産の価額-贈与税の配偶者控除額-基礎控除110万円)×税率
贈与財産の価額
次のうちいずれか少ない金額から決定します。
・2,000万円
・居住用不動産の価額+居住用不動産の取得に充てられた金銭
直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
贈与年の1月1日において20歳以上の者がその直系尊属からの贈与により、自己の住宅の取得等(住宅とともに取得する敷地等を含む)に充てるための金銭を取得し、翌年3月15日までに一定の新築等を行った場合において、同日までに居住の用に供したとき又は遅滞なく居住することが確実と認められるときは、平成27年1月1日~平成33年(2021年)3月31日は1,500万円まで(消費税が10%の場合には、平成31年4月1日~平成32年(2020年)3月31日まで)の贈与について非課税となります。
【贈与税の課税財産】
贈与税の課税財産(本来の財産)
財産の名義変更があったときに対価の授受がない場合、又は、取得した財産を他人名義とした場合に、その実質が贈与であれば、名義人となった者が贈与を受けたものとして、贈与税が課税されます。
ただし、贈与の意思がなく、他のやむを得ない理由に基づいて行われたことが明らかな場合に、その財産の名義を実際の所有者に戻したときに限り、贈与がなかったものとされます。
贈与税の課税財産(みなし財産)
その経済的効果が実質的に贈与を受けたものと同じ場合には、贈与による取得とみなして贈与税が課税されます。
1)生命保険金等
「被保険者又は保険金受取人以外の者」が保険料を負担した場合
2)低額譲受による利益
著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合
3)債務免除益等
無償、又は著しく低い価額の対価で債務の免除・引受け・第三者のために債務の弁済を受けた場合
4)その他一定の場合
無償・無利子での財産・金銭貸与、共有持分の放棄、負担付き贈与など
【贈与税の非課税財産】
贈与により取得した財産でも、以下のようなものには贈与税は課税されません。
1)法人からの贈与により取得した財産
2)扶養義務者から生活費・教育費として贈与を受けた財産
3)宗教、慈善、学術など公益事業用財産で一定のもの
4)一定の特定公益信託から交付を受ける金品
5)心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
6)公職選挙の候補者が贈与により取得した財産で報告がなされたもの
7)特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
8)社交上必要と認められる香典・祝物・見舞などのためも金品
9)相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産(生前贈与加算の対象となったもの)